非吸収、異方性媒質中の光波(屈折率楕円体)
非吸収・異方性媒質中の光波として最後に複屈折現象に関して議論していこうと思う
屈折率n1の等方性媒質から結晶内へ、平面波が境界面を通って入射する場合、どのようなことが起こるのかを調べる。
いまs(i)を入射波の波面法線単位ベクトル、s(t)を屈折波の波面法線単位ベクトルとすると、
各媒質中の光波の位相項は境界面で連続でないとならないので、
となる。(ここでのtは時間項である。)
そこで、図に示されているように結晶の屈折率面がカットされている場合を考えると
位置ベクトルrは境界面上に取られているので、内積がゼロであることから、ベクトルn1s(i)-ns(t)は境界面垂直でなければならない。
また二つの屈折率をもつ結晶は波面法線方向も二つ持っているので図のように二つの屈折波が伝搬していくことになる。
このような二つの屈折波をもつ現象を複屈折という。
では垂直に入射した場合はどのようなことが起こるのかを考えると、実は複屈折現象は起こらないことはすぐにわかるだろう。
しかしながら、エネルギーの伝搬方向は以前にも議論した通り、波面法線方向と一般的には平行にならないため
異常光線のエネルギー伝搬方向は一般的に界面に垂直ではないことに注意する必要がある。
最後に、複屈折を起こしている結晶の絵を見ていただこう。