Paper


Excitonic enhancement of the Fermi-edge singularity in a dense two-dimensional electron gas
 phys. rev.B   M.Fritze   W.Chen (1992)



1.Introduction
 
 high-mobility 2DEGはいろいろなinteractionの研究上面白い、最近ではFQHEやQHEのoptical signitureの研究も報告されている。定常状態のmany-electronとone-holeのinteractionも理論的かつ実験的に興味深く、これらの研究は最初にMahanによってbulk semiconductorで行われた。彼が示したのは平衡状態のelectronsによるscreening(coulomb interactionを起因にする)によって普通はexcitonの効果は見られないはずであるが(簡単に言うとたぶんexcitonの束縛を打ち消すようにscreeningが働く)、適当なelectrons densityでexciton-like effectが顕在化すること、またFermi-edgeのちょっと下にbound状態があることを(これらは
Mahan excitonと呼ばれている)示した。
このbound状態は
           (1)Fermi surface sharpnessとelectron scattering
           (2)Pauli exclusion principle's restriction
の結果から来るものである。(らしい)
のちに、光励起で増加したelectronのうちbound stateがどの程度unboundになり、continuumに移るのかを示すためにdynamicsの点からも研究された。
吸収に関してはFESの項から現れる振動子強度の発散がFermi-levelであらわれ、このようなmany electron excitonic featureは2つの補償processesで構成されている。
         (1)holeによるelectron scattering(vertex corrections)
         (2)the strong renormalization of the hole (self energy effects)
によるものである。

 
ところがそんな多体enhancementは有限のhole massやoptical holeによって生じるlifetimeや温度のようなbroadeningによる効果に敏感である。
FESの効果を見るためには、2つの手段がある。
          (1)broadeningの影響を最小にする。
            (valence-holeは組成の揺らぎによるでboundする。そしてholeの有効質量は発散             する。これらはInGaAsの量子井戸で観測される。)
          (2)photo-holeとFermi levelでのmany-electronとの相互作用を大きくする。
            (これは本論文で紹介する。簡単に言うと、Fermi-levelでのphoto-holeとの              electron's scatteringはnear resonant excitonとの相互作用を通して強められる。)

         
研究に用いたsampleはおもにFig1(a)であり、one-side modulation doped asymmetric sigle quantum wellである。
subbandのN=1に関しては、AとBの界面では電子が60Åほど染み出している。また、holeは界面Cでせきどめられているのでholeとelectronのwave functionはほとんどoverlapしていると考えられる。
次にN=2のsubbandに関してであるが、N=1よりa few meV高い、量子井戸内の電子の広がりはおおよそ150Åである。N=1と2での井戸内でのoverlapの程度は4から8倍N=2のほうが大きくなっている。
注意してほしいのは今
回の実験ではN=2には占有していないということである。これはN=2 excitonとN=1のFESの共鳴couplingとその2つのspectrumの干渉をPLを用いて研究するにはもってこいの条件であるからである。
 これから実験結果の概要を説明する。
通常はN=2は今回空であるので、N=2のexcitonは2D electron gasとinteractionしない。というのはN=1とエネルギーが近いためにexcitonの分極を生じさせ結果としてelectron gasと相互作用するこれは典型的には0.6meV程度なので無視できる。今回の場合のようなこのinteractionと、Fermi-levelとN=2excitonの2つの遷移の差のエネルギーが同程度の場合は別である。そのときFESの振動子強度は強められてN=2excitonと共鳴couplingを通して二桁ほど強くなる。
 温度によってもつよい影響が見られるT〜8K程度でこのFESenhancementはきえてしまう。
 特に
in-planeに磁場をかけてFESの特性をしらべたが、perpendicularでは電子はLandau 量子化されanticrossingやoscillator strength sharingがFermi levelがN=2に近づいたときに見られる。PLの周期的な振動も見られoptical Shubnikov de Hass oscillationsも見られる。
次に遷移に関してであるが、基本的に考えないとならないものは、次のみっつの要素である。
 (1)波数kを保存させて遷移する。
 (2)不純物経由の間接遷移。
 (3)N=2のexciton経由のFES
(3)のプロセスが一番興味深い。

2.InGaAs asymmetric single quantum well

A. general spectroscopic properties

 まず、GaAsのスペクトルを見る前にInGaAsの量子井戸に関しての実験結果をみる。実験装置に関しては13.5Tの磁場がでるものとtwo-Fiber(一つは励起用でもう一つは捕捉用)を用いて行った。sampleは三つのAl0.15Ga0.85As/In0.15Ga0.85As/GaAsの単一の非対称量子井戸を用いた。(S1,S2,S3)これはFig.1(a)と同じで構造を持っている。
試料の特性を表に表した。この測定(Fermi energy and sheet density)はHall measurementで測定された。
      
     

Wは量子井戸の幅、Nsはsheet densityとした。N=2からの電子密度は測定されなかった。(これはShubnikov-de Haas OscillationsをFourier transformを見ることでそれはわかる。量子井戸のsubbandのN=1、2の両方の振動の重ねあわせを見ているからである。)
Fig.2(a)は低温で低強度で測定したPLである。磁場はB=0Tである。
         

長い矢印はN=2のexcitonであり、短い矢印はFESからの発光を見ている。Δは二つの発光でのスペクトルのエネルギー差である。E0はk=0での直接遷移である。
 S3のsampleはΔが小さい。この図はFig.2(a)と(b)で確認できる。N=2のStorks shift波観測されなかった。これはサンプルの質とN=2のexcitonの本質的な性質を反映している。
 これから、S1,S2,S3に関して、議論していく。
まず、S1に関してであるが、
            
短い矢印はN=2excitonの影響を受けることなしにN=1の2DEGによって誘導されたFESの名残である。N=2とFermi-edgeのエネルギーが離れすぎているために(=11meV)FESのExciton enhancementを観測できない。
一般的にInGaAsのFESは元気がなく広がっている。それは、スクリーニングされたelectron-hole interactionの効果や有限の平面内のlight-hole massによってである。(はぁ?)
heavy-hole bandとlight-hole bandは60meV分裂する。(面内で)このことはFig.2では重要である。

S2に関してであるが、
           

実験的にエネルギーの分裂は=5.5meVであり、T=2Kではっきりとexciton enhancement FESが観測されている。温度とともに消えていき8Kでは見えなくなった。それとは対照にexcitonの効果が強くなってきている。
S3に関してであるが、
             

=0.6meVである。この実験でしめしていることは、FESはN=2のexcitonと共鳴的にcouplingすることでPLが強くなっているということである。この温度依存に関しては下に示した。
                
N=2のexcitonが温度とともに顕在化しているのが見て取れる。2Kでは非対称であるが、6Kでは対称である。この凾フ依存性に関しては後に詳しく議論することにして、まずこれらのスペクトルに含まれるいくつかの基本的なバンド間遷移の根本を考察することにする。

再びS1に関して議論するが、
E0とFESの発光でenergy separationは30meVである。これはHall effectでの測定とよく一致していて、indirect transitionであり、pass(c)であることがわかる。エネルギーの高いほうであるがこれは、発光強度はもし直接遷移ならでの変化が見られるはずであるがそのようなものは観測されなかった。
 次に不純物による影響に関して考察してみる。
2Delectronはスペーサー層のイオン化donorsや組成の揺らぎによるramdomly impurities によってInGaAsのPLのスペクトルの形に影響を及ぼす。変化しないkというのはもはやこのような散乱の体系ではよい量子数にはなりえない。よって、kがゼロでないelectronはk=0のphotoholeと再結合発光しうる。実際にこの高次の効果はは小さいが、低温で、励起強度が小さいときにはphotoholeはすぐにk=0に緩和して、Fermi-levelにdirect transitionするためのholeがいなくなってしまう。この理由がdirect transitionよりindirect transitionのほうが発光強度が強くなりうる理由である。
これは E0のN=1のsubbandの発光と、磁場のスペクトルから求めたN=1の発光と比較すると1.2meV程度 (Fig.3)bule shiftしていることからこれはimpurities assisted による高次の発光の影響が含まれていることが判断される。
当然、この効果はspacerの広さに依存するわけで、(それはspacerの広さによって揺らぎなどのパラメーターが異なるからである)薄いspacerのほうがE0のpeakは広がっている。
 Fig.2(a)のS3ではLO phononの影響が見られる(白抜きの矢印)。このindirect transitionはInGaAsではfermi emergyが36meV以上のもので観測される。


次に、垂直磁場を入れたときに関して考察する。
自由電子とholeはLandau levelに量子化される。今回はN=2(量子井戸)のサブバンドには電子は存在しないことをtransportの実験で示した。N=2のexcitonの効果は中性のためにtransportには引っかからない。これは光学の実験と伝導の実験の大きな違いである。
      
            
Landau levelは調和振動子のようになるので、electron subband and hole subbandの両方を考慮して計算したものが上の式である。上の結果はとても興味深い、というのは普通diagonal(l=m)の発光が強く見られるのであるが、低温であるとoff-diagonalのimpurity scatteringのほうが強く観測される。これはphotoholeが最低のlandau levelにしか占有していないからである。実際の発光スペクトルはFig.4に示した。ここで、やはり次のことのきづく、それは、先ほども述べたようにこの高次の効果は不純物によるものだったり、組成の揺らぎによるものだとするとspacerの大きさに依存するはずである。S1とS2を比べたときにこのふらつきの大きいほうは、S2のほうであった。ということは、このoff-diagonalの発光はS2のほうが大きくなるのは想像するに難しくない。実験結果もそれを示唆している。

       

また温度依存性も興味深い。それは、先ほども述べたようにoff-diagonalの発光が低温では強く、高温ではdiagonalの発光が強くなっている。つまり、高いLandau levelのほうで熱的なpopulationが見られるからである。(l-m)のうち、(3-0)と(2-2)は縮退していて区別できないが、この温度依存性が違うことを利用すると区別できる。温度を高くするとband-gapが小さくなるのでスペクトルは全体的にredishするがLandau-levelは影響は出ない。よって全体が平行移動したようなものになる。
InGaAsのとき1-LO-photonを放出して発光しているスペクトルが見られる。これは1-photon energyは36meVである。これは、Fig.3をみると平行に1-photon分下がったところに見ることができる。(0-0)とのcrossingはanti-crossingであり反発しているのが見てわかる。磁場で言うと4.5T 5,5T 7,7T でこのanticrossingがおこっている。


B.Excitonic enhancement of FES by the subband resonance condition: tuning in parallel magnetic fields
      
 つぎに、話題をFESのexciton enhancementに関して焦点を絞って考察していく。
今回のFig.2のこれらのスペクトルはFermi-surfaceからの発光がN=2のExcitonの発光と相関があると考えられることを先ほど見た。これは、以前から知られているstates mixingが起こっていると考えられるが、今の場合はそれとは異なっていて多体問題が含まれているので複雑ではある。
ここでは、これらの物理的な解釈をparallel magnetic fieldsの実験結果と比較することで議論する。
今回は二つの要素を考えないとならない。1つはdiamagnetic shiftによるexcitonへの効果。もう1つは難しいのではあるが、electric and magnetic confinementの有限の混成による2DEGの有効質量の増加がFermi-energyを小さくさせる効果。
注目したいのは10Tでは、
N=2 exciton Bohr radius は150Åまた、磁気長(ある意味サイクロトロン半径)は80Åであり、N=1ではz方向の閉じとめが60Åであることに注目しておきたい。
diamagnetic shiftは4Tまでは約1meVであり、6〜10Tまでは4meV程度である。
これらの2つの効果によるずれはenhancementの効果をちょっと修正するだけでよい。
       
上のグラフはzero磁場のPLと比べると5Tでは6倍小さくなっている。これはexcitontの共鳴が2つの効果によって離れていっているからである。磁場を大きくしていくともはやexcitonのPLは見えなくなってきている。温度を上げるとN=2の占有が大きくなってくるのでexcitonの効果がより鮮明に見えてくるのがFig.6で見ることができる。
また、B>5Tでは、FESの非対称性を見ることができるがこれは、holeの跳ね返りや有限温度の効果や不純物によるlevelのブロードニングが考えられる。
        

         
上の実験結果は、以下の簡単化した理解によってfittingしてある。
まず、摂動Vが入る前には2つの波動関数は縮退している。
1つはN=2のexcitonの影響がはいっていない、N=1からなるFESを表す波動関数、もう一方はN=2のexcitonを表す波動関数であり、gはground stateの多体波動関数である。Vが今考慮に入れていないので、光励起されたexcitonと2DEGは独立事象である。

1の波動関数でoptical matrix elementは(N=2のexcitonの効果は入っていない。)
要素としてはN個の2DEGと光励起されたelectronとholeである。光励起されたものは空間的には同じところにあるので差はゼロにしてある。

2の波動関数でoptical matrix elementは

Vをいったん入れると、interaction Matrixは

であり、N=2のexciton stateは以下のようにかける。

一方でFESのほうは

である。

は規格化定数である。
結合した後のoptical matrixは

FESのenhancementの効果は(まず、独立のときに対してして結合したときにどの程度optical matrixが大きくなったのかを考えればよい。)

の値は実験結果からは0.6meVとなっている。これは温度によってFESのenhancementが0.8meVで消滅したことを考えるとかなり妥当な値であることがわかる。ところでグラフのほうのenergy separationが0.6meVの時にはfittingがうまくいっていないがこれは、Fermi seaとN=2のexcitonの結合と結合することでよりenhanceしていると考えられる。


C.Effect of perpendicular magnetic fields: optival Shubnikov de-Hass oscillations


次に、垂直磁場をかけたときにLandau levelに量子化されたものをみる。Fermi levelでの状態密度は磁場の逆数に比例した大小が繰り返す周期的な構造を持つ。今回はそのFESでの周期的な振動を見ることにする。
Fig.8(b)とFig.8(a)を比べると、OSdHのほうが1Tまでは十分に振動が見えているが磁気抵抗での測定はあまりはっきりと区別することができない。これから、OSdHはFermi-levelでの状態密度の指標だけでなく、Fermi-levelがどこにあるのかをはっきりとしめす。ところが、輸送現象ではFermi-levelでの状態密度だけが指標になる。これはFESのexciton enhancementが関係している。