Detector
Image Sensor



イメージセンサ(Image Sensor)の基本原理


 イメージセンサとは、CCDやCMOS等が知られており、とりたい被写体をそのようにして電気信号に変換し映像信号に置き換えているのかその基本原理を理解することは、科学者やエンジニアに限らず、カメラファンにとっても重要なことであると思う。
 この節ではどのようにイメージセンサが機能しており、CCDやCMOS等の共通概念や特徴的な原理に関しても触れていきたいと考えている。

 イメージセンサの基本的な構成は

   
@受光(光電変換:光子から電子or電荷) ⇒ A電荷蓄積 ⇒ B電荷転送 ⇒ C電荷検出

である。下記に代表的なCCDとCMOSイメージセンサの基本的な構造や動作原理を説明する。

Type   CCD CMOS 
 構造    
@受光
(光電変換:光子から電子or電荷へ)
 受光部に関しては、まず光(光子)がPD(フォトダイオード)に入射する。入射した光子は光電変換と呼ばれる光子から電子へと変換される。特に特別なことを行わなければ、通常のPDは可視光領域ならSiを、赤外領域ならInGaAsの半導体を使うことが多い。
半導体(PD領域)では内部光電効果と呼ばれる現象が起こる。具体的には、下の図に示したように電子は、価電子帯(電子が詰まっている低エネルギー準位)から光子のエネルギーを受け取り伝導帯(伝導に寄与することのできる高エネルギー準位)に励起される現象のことである。この励起電子はわずかな電場をかけることで電場方向に動くことが可能となりこの電子を検出することが可能となる。
                     

 A電荷蓄積

 では、電荷の蓄積はどうしているのだろうか? 実はこれもPDで行われている。ここではPN接合型のダイオードに関して説明する。
これを理解するには、PDの紙面奥行き方向の構造に関して注目しないとならない。
奥行き方向にはこの例ではN型Siが上にP型Si基盤が下になっているとすると、N型がP型と接合することでN型はP型よりもエネルギー準位が低いために、PN接合することでN型のほうに電子がたまることができる構造となる。
よって、N型の表面で光電変換された光がそのままN型の井戸に電子をためることで、電荷の蓄積を行っている。

                
B電荷転送   CCDはCMOSと異なり、電荷そのものを転送するその転送方法を4相式CCDを例にとって説明する。4相方式とは、下図に示したように、4つのCCDを井戸の電圧を制御して電荷を押し出していく方式である。下の図はΦ1−Φ4までの電圧を変えることで電荷を転送していく様子である。PN型接合された領域は加える電圧を変えることで井戸の大きさを変えることができるためこの原理を利用して電荷を転送している。

電圧を制御することで電荷の転送が行われるが、その電荷の転送メカニズムは以下の3つで説明される
@自己誘起ドリフト(Self-Induced Drift)
A熱拡散(Thermal Diffusion)
Bフリンジ電界ドリフト(Fringing Field Drift)
である
@は電荷の分布で発生した電位勾配によるドリフトである
        
Aは熱運動による電子の移動
           
B電位を印加すること等で発生した電位勾配によるドリフト
        

最後に各CCD構造における特徴をまとめる


  構造の欄で示したようにCMOSはCCDと大きく異なる点は、CCDは電荷を垂直と水平方向に基本的にはすべての画素情報を転送するが、CMOSは両方向とも転送したい画素のみの情報をXYアドレスで選択して(スイッチをオンにして)、電圧または電流に各画素ごとに変換し増幅された後転送される。

 上記の点から以下の点で特性に差が生じる。

@CMOSは画素ごとに信号を増幅するため、垂直、水平方向に転送する際に転送によるノイズの影響が相対的にCCDよりも小さい(CCDは転送時に増加されずに微弱電荷のまま転送されるため、転送時にノイズが乗りやすい)

ACMOSは画素ごとにスイッチをつけられるため、配列に関係なく信号を取り出せるが、CCDは配列通りにしか取り出すことができない

BCCDは容量の塊を大きな電圧振幅で駆動させることと、FDアンプに高い電圧を与える必要があるため、消費電力にCMOSは優位性がある

CCCDのよい特性はやはり画素ごとに増幅しないため、画素ごとのばらつきの影響が小さいこと、またCMOSのトランジスタの性能が悪いためにためにノイズの点でCCDより劣っていることがあげられる

DCMOSはLSIをプロセスを基盤にしているので、基板がP型Siと電荷が拡散しやすく、混色と呼ばれる画素間で電荷のまざり(クロストーク)が生じやすいために、画像のMTF(画像の輪郭の明瞭さ)が劣化しやすいという問題がある
C電荷検出

  ここでは、CCDイメージセンサにほぼすべてに使われているフローティング・ディヒュージョン(FD)タイプの構造に関して説明する。まずは基本的な原理に関して説明する
CCDから転送された電荷はキャパシタへ受け渡される。キャパシタへ渡された電荷は両端の電圧変化として現れる。
          

では、FDタイプの動作原理に関して説明する。
PN接合ダイオードは逆バイアスがかかった状態にしてあり、信号電荷を電圧に変えるキャパシタの役割をしている。N型領域は、電気的に浮遊状態になっていることからフローティング・ディヒュージョンと呼ばれている。下図で言うとVFDの領域がそれFDに対応します。

      

ではもう少し詳しい原理を3つの図で説明しますと、
第1図はΦ1、Φ2の電圧をコントロールすることで電荷を転送している様子を示している。RG(リセットゲート)をオンにすることで、電荷を読み取るまではFD電圧はRD(リセット・ドレイン)電圧にリセットされている。読み取る直前にRD電圧をオフにして電荷をFDに転送して、その後、FD電圧を読み取ることで最初との電圧差から電荷を検出することが可能になっている。
            


  CMOSの電荷検出に関して説明する
下図に示すように1画素で読み出しを行っている。よってCCDよりもCMOSのほうが1画素ごとに配線を組まないとならないので、よりPDの占有率が小さくなってしまうという弊害がある。(つまり、感度が低いということ)電荷の読み出しはいくつかタイプがあるがほとんどCCDと同様で、電荷をPDで蓄積した後にリセット線で電荷をリセットした後にFDに電荷を転送してリセット前とリセット後の差分を読み取ることで蓄積された電荷を電圧として検出する方式である