Detector
Image Sensor



イメージセンサ(Image Sensor)の性能評価


 前節ではイメージセンサの基本的な構成や動作原理等を見てきた。イメージセンサは以下の4つの基本的な動作原理がある

   
@受光(光電変換:光子から電子or電荷) ⇒ A電荷蓄積 ⇒ B電荷転送 ⇒ C電荷検出

CCDとCMOSそれぞれの性能おいてどのような特徴があるのかを見ていくことは重要である。
そこでこの節ではイメージセンサの性能はどのような観点を見る必要があり、また、CCDとCMOSを比較した際にどうなっているのかを
検証していこうと思う
(ここでの比較は一般的に言われていることで、ある特性に特化させればこのCMOSとCCDの比較は正しくないこともあることには注意していただきたい)

Type   CCD CMOS 
 構造    
 ランダムノイズ   
光ショットノイズ まず、光ショットノイズに関して説明する。
フォトダイオードに毎回蓄積された光電子の平均値が一定のN個だったとしても、光子は√N個だけ揺らいでしまう。√N個の光ショットノイズは量子的な揺らぎに起因するノイズであるために原理的に発生してしまうノイズである。

光ショットノイズ=√光電子数

上式からわかるように光ショットノイズ量はCMOSとCCD関係なしにPDに蓄積された光電子数で決まるパラメータである。
暗電流ショットノイズ  次に暗電流ショットノイズに関して説明する。
まず暗電流に関してであるが、
暗電流とは、PDや水平/垂直CCDの中で電子が深い準位などを足場に熱的に励起されることによって電流に寄与する。
この暗電流の発生はランダム過程であり光子の光ショットノイズと同様に暗電流ショットノイズと呼ばれる暗電流の揺らぎを生じる。暗電流が平均的にN個生成しているときに、その時間的な揺らぎは√Nとなる。

暗電流ショットノイズ=√暗電流の電子数
CCDの暗電流とその暗電流ショットノイズにおいて、基本的には平均的な暗電流が非常に小さく抑えられているのがCCDの特徴である。そのため暗電流ショットノイズがCCDのランダムノイズの主要因になることない   CMOSの暗電流はCCDより多いため、暗電流ショットノイズもCCDよりも多くなる傾向がある(2010年現在)。理由は、CMOSはLSIプロセスを土台にしているためPDを最適化することが難しいことがあげられます。今後さらなる最適化がなされさらに性能が向上すると思われる
FDリセットノイズ FDリセットノイズとはある容量にスイッチを介してある電圧を与え、スイッチをオフしたときにあらわれるノイズであり、サンプリング回路では必ず発生するノイズである。イメージセンサでは電荷をけんする直前に、FDを電源電圧等にリセットするが、このときにFDリセットノイズVnは以下である
                                    
ここでC:コンダクタンス、k:ボルツマン定数、T:温度である

       

実際のイメージセンサでは
CDS回路と呼ばれる上記左の回路によってリセットノイズは取り除かれる仕組みになっている。
その仕組みは上記右の信号の様子は二つ目のパルスがリセット部にリセットノイズVnが付加された信号になっているが、信号が蓄積されたデータ部でも同様にVnが付加されていることに気がつく。そこでリセット部の信号とデータ部の信号両方とも取り込み、その後その差分をとることでリセットノイズVnが取り除かれる。このような仕組みを持った回路がCDS回路である。
FDアンプノイズ  次にFDアンプノイズに関して説明する。これは大きく二つのノイズに分類できる
@熱雑音
A1/fノイズ
である
@の熱雑音はアンプで利用するMOSトランジスタのチャネル抵抗により発生する。ゲート入力に換算した2乗平均雑音電圧Vn2は周波数に関係なく一定のパワースペクトル密度を示し、相互インダクタンスgmを用いて以下のように定量化される
                                  

Aの1/fノイズははっきりとは原因はわかっていないが、MOSトランジスタのチャネルにある界面準位で、電子が捕獲/放出されることにより発生すると考えられています。ノイズの量としては以下のように定式化されている。
                                 
                
このようにノイズ量が高周波周波数fに対して反比例して低減することが分かる。
1/fノイズはCDS回路のフィルタ効果により低減されているのが現状である

 
 固定パターンノイズ
暗電流   光量が少ないときの空間的な画質のざらつきは主にPDの暗電流が原因である。暗電流は均一な結晶で作られていないためにこの各画素ごとに暗電流の発生の量が異なり空間的なざらつきが生じてしまう。
PD感度   光量に特に関係なしに画質のムラがある時は、PDの感度のばらつきが一つの原因である。感度のばらつきが起こる原因として、
@PDの開口窓の大きさや形状が均一に作製できていない
A異物が開口窓に乗っている
Bマイクロレンズアレイの作製むら
に依存することが多い
 
転送劣化  弱光量のときに黒点と黒い筋は垂直CCD、水平CCDの転送劣化によると考えられる。おもにCCD内に不純物準位のトラップがあり転送中にそのトラップに捕まった画素の電子は常に周りより暗い画素になってしまう。また不純物準位の電子緩和が速い場合そのCCDを通過するすべての画素の電子が転送中にトラップされては緩和し転送できないことになってしまうので黒い筋状の画像が得られることがある
    
 
転送方式が電荷の転送ではないためCCDと同様の転送劣化は生じない 
増幅器  増幅器を一つしか使っていないため、増幅器由来の固定パターンノイズは生じない  特に画質の点でCCDと差をつけられていたのが画素間の増幅器性能のばらつきである。増幅器の性能は大きく二つに分類できて
@MOSトランジスタのソースドレイン間に電流が流れ始めるゲート電圧のばらつき。つまり、オフセット性のばらつき
AMOSトランジスタの相互コンダクタンスと関係する感度性ばらつき
であるが、おもにひどかったのが@の性能のばらつきが大きいために画質ムラが非常にあったといえる
 
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