Light Source
Laser Diode



レーザ光発生の基本原理

レーザ光発生の基本原理を説明する前に、レーザ光と通常の太陽光などの光との違いに関して簡単に説明する必要がある。
これら二つの光の違いは、

・レーザ光・・・波長が単一で位相がそろった光
・通常の光・・・いろいろな波長が混ざり、位相がランダムな光

ということで、端的に説明すると
波長その位相の性質の違いで説明される
表で整理すると以下のようにまとめられる。




ではレーザ光と普通の光の違いが漠然とわかったところで、早速レーザ光発生の基本原理に関して簡単に見ていこう。
レーザ光の発生を考える上で、大きく以下の二つのことに関して議論する必要がある

(1)反転分布
(2)フィートバック



(1)反転分布

(1)の反転分布を理解するには物質中に光が入射したときに量子的に光の放出がどうなるかを知っておく必要がある。
物質中の電子は電子はその存在できるエネルギー状態が決まっていて、今回は簡単のために
2準位系(エネルギー状態が二つの場合)として説明する



|2>が電子が存在する準位で、|1>が正孔が存在する準位である。このような系を考えた際に生じる現象は以下の3つが存在する

@自然放出:ある確率A21で電子と正孔が再結合して、電子が正孔準位に落ちた際に余ったエネルギーを光として放出する
A吸収:ある確率B12でバンドギャップEgと同じエネルギーの光を吸収して電子と正孔を生成する
B誘導放出:ある確率B21でバンドギャップEgと同じエネルギーの光を感じて電子が正孔準位に落ち、余ったエネルギーを光として放出する

では、@の自然放出光とAの誘導放出光との違いは何であろうか?
それは@は光の位相(波形)が異なっているが、Aは入射した光と同じ位相(波形)を持つという性質がある。
そのため、上記で説明したような位相をそろえた光を発生させるには誘導放出された光をたくさん作る必要がある。

ここで、誘導放出の確率B21と吸収の確率B12は同じ値になることが知られている。
|1>と|2>にいる電子の数をN1とN2とすると、
レーザに寄与するの光量は放出される光量から吸収される光量を差し引くことで求めることができるから、

 
レーザ光量=N2B21−N1B12=(N2−N1)×B21

として算出される。そのためレーザ発振するには、

 
N2−N1>0

であることが必要になる。
つまり、上の準位|2>のN2が下の準位|1>のN1よりも多くの電子がないとレーザが、誘導放出が起こらない。
上記の条件を
反転分布条件と言う。

では実際のレーザはどのように反転分布を形成しているのだろうか。
電子は下の準位にたまりがちだが、それを上の準位にする方法は
ポンピングという
大きくポンピングのやり方は2通りある。
@光ポンピング
A電流注入ポンピング
@は固体レーザによくつかわれる方法でAは半導体レーザに使われる方法である。
半導体レーザはもっともエネルギーの利用効率が高い方法といえる



(2)フィートバック

フィートバックとは下の図に示したような、2枚の平行に向かい合わせた鏡(ファブリペロ:Fabry-Perot):共振器で実現される。
反転物質で生じた光の種が誘導放出を繰り返して増幅され物質中を進んでいく。
鏡による光フィートバックは単なる増幅だけではなく、発光物質を構成する原子がそのままではランダム化するのに対し、
原子間の共同作用を維持させ光子の位相の連続性を保つ役割を担っている。