半導体レーザの基本構造
前節でレーザの原理に関して簡単にではあるが見てきたが、ここで半導体レーザに限定してもう少し詳しく構造を見てみることにする
レーザの発振原理は大きく分けて次の二つであった
@反転分布
Aフィートバック
この二つの観点を半導体レーザで確認してみる
まずは半導体レーザの基本構造を下の図に示した
半導体レーザは正孔を供給するP型(正孔を与えるために不純物がドープされている)と
電子を供給するN型(電子を供給する不純物がドープされている)の半導体をサンドイッチのように接合させた構造を持っている
P型とN型はそれぞれ伝導帯と価電子帯のエネルギーが異なるため、PNの接合部分はエネルギー連続になるようにエネルギーの坂が
形成され、そこで電子と正孔が再結合発光する層つまり活性層が形成される。
反転分布
ただサンドイッチ構造にするだけではレーザ発振するだけの十分な反転分布が起こっていない。
そこで、P型半導体にストライプ状の電極をN型にも電極を付け、P型をプラスにN型をマイナスになるように順方向のバイアスをかけることで
N型には大量の電子をP型には大量の正孔を注入し、ポンピングすることで活性層において反転分布を形成させる。
このことによって一気に誘導放出を起こさせ、光の増幅が始まる。
フィートバック
では、フィートバック(ミラーで囲んで光をミラーに閉じ込める)のやり方はどうしているのだろうか
それは、半導体レーザを「ヘキ開」するときにミラーが形成される
ヘキ開とは何かというと半導体には結晶面が存在しており、その方向に一部傷をつけて割ることをさす
そのとき割った端面がミラーのような役割をするため、半導体レーザは結晶の純度が高ければ容易に結晶面方向に割るだけで
ミラーを形成できることになる
そのため、他のレーザと異なり外部にミラーを置く必要もなく、しかもメンテナンス不要という大きなメリットがある。
以上をまとめると
@反転分布・・・PN接合の順方向に電流を注入する
Aフィートバック・・・ヘキ開し端面でミラーを形成(共振器)を形成する
ことで、半導体レーザを発生させている。
この基本アイディアは1957年に日本人の西澤-渡辺によって初めて世に提案された