Light Source
Laser Diode



半導体レーザの種類


半導体レーザに関して二つの基本的な考え方(反転分布、フィートバック)に関して調べてきた。
ここで具体的な半導体レーザの構造を分類して説明する
ここでは下記に示すように縦構造と横構造に分類できる。
縦構造は主にDouble Hetero構造(Quantum Well構造)に主に分類される。
横構造は各社かなり異なり各企業のチカラの見せどころとなっている。
下記に簡単ながらそれらの分類をまとまる。

構造  縦構造
名称  Double Hetero  Quantum Well  Multi Quantum Well 量子細線・量子箱構造
 発明者 ・クレーマー(1963:米 理論)
・アルフェス(1969:露 実験)  
・江崎玲於奈(1970年:日)     
 発明による
恩恵
半導体レーザの
室温連続発振に成功 
 改善項目 改善方向 改善理由 
しきい値 減少  スペクトル集中でゲイン上昇 
光出力 上昇 導波路ロス小
しきい値小 
変調可能周波数 上昇 微分ゲイン上昇 
スペクトル線幅  減少 線幅増大
係数減少
変調時線幅広がり 減少 線幅増大
係数減少
特性温度 上昇 階段状
状態関数
   
 発明の基本
コンセプト
 P型とN型の接合から
P型クラッド層/活性層/N型クラッド層
の構造を持ち、活性層はクラッド層より
低いバンドキャップでかつ屈折率の
高い半導体材料を用いる構造により
光の閉じ込めキャリアの閉じ込め
を可能にすることで効率のよい反転分布を
形成することが可能となった
基本的な構造はDH構造と同じであるが活性層に大きな特徴がある。活性層を非常に狭くし、キャリアを閉じ込めると以下の効果が出る。
(L<100Åで室温で出現)
@エネルギー準位の離散化による基底準位の増加し、短波長化する
A量子化により、第二ピークを持つ
B発光線幅が狭くなる
(下図の階段状の状態密度が狭くなるため) 
   
外観        
バンド構造
屈折率分布
光強度分布
       
発光スペクトル      

・縦構造より、横構造のほうが制御しずらい理由
  縦構造・・・nm程度制御可能な半導体結晶成長(エピタキシャル成長)
  横構造・・・um程度制御しかできない半導体フォト・リソグラフ・プロセス
であるので横構造の方が制御が圧倒的に難しい

横構造の目的
光のモードを基本横モードに安定させることで、以下の効果が得られる
(1)光出力(L-I)特性にキンク(曲がり)を生じさせず、安定動作、しきい値低減
(2)光スポットが広がり、かつ、うねる(中央部分が暗いモードとなる)
(3)ノイズの発生が多い

構造  横構造
名称  ゲイン・ガイド・レーザ ゲイン・ガイド・レーザ
テーパストライプ構造
インデックス・ガイド・レーザ
(埋め込みヘテロ:BH構造)
インデックス・ガイド・レーザ
(埋め込みリッジ:BR構造)
 発明者   ・真峰ら(ソニー:日)  日本 日本 
 発明による
恩恵
・横モードの安定化
・多波長性
・ゲインガイドレーザの欠点である波面湾曲を低減させる
・しきい値は中央の広いストライプの寄与分下がる
・放射光パターン(FFP)が単峰になりしかも広がる
・狭い端面の開口のため非点隔差が改善される
・多波長性
・非常に効率のよいレーザ
・単一波長性(ゲインが中央に集中するため、自然放出光が少ない) 
・動作電流が低い
・放射特性が単峰で安定
・非点隔差が小さくゼロに近い
・変調速度が高い
・作りやすくあらゆる材料に適用可能な汎用性の高い構造
・単一波長性(ゲインが中央に集中するため、自然放出光が少ない)
・動作電流が低い
・放射特性が単峰で安定
・非点隔差が小さくゼロに近い
・変調速度が高い
 発明の基本
コンセプト
・絶縁層をPクラッド層の両サイドにはさみ、中央のストライプのみにゲインを生じさせてレーザ発振させる。
・電流注入領域はプラズマ効果により中央部分は屈折率が相対的にさがる。そのため光を導波路に閉じ込めずらいという欠点がある
・波面湾曲があるために放射パターンが双峰になり、集光時に非点隔差を生じさせる
・テーパ形状にすることで端面の近傍を絞ることで非点隔差(波面湾曲)を抑えることが可能となる ・横方向にもDouble Hetero構造を作りこむことによって光とキャリアを閉じ込めることで効率よいレーザを作ることができる。
・両サイドをエッチングする必要があるので作りこむのが大変であるところがある
・ゲインガイドと異なり中央部の屈折率が高いために光も閉じ込めることが可能でまた活性層の材料をバンドキャップが小さいものにすればキャリアも閉じ込められる 
・光吸収層を光が感じると、nクラッド層の領域に染み出しそこにある低屈折率のクラッド層を感じることを利用したもので、両サイド部は中央部に比べて屈折率が小さく感じ(ロス・ガイド)
・光吸収層を屈折率の低い吸収のない材料にすると、低しきい値で高効率なレーザとなる(リアル・インデックス・ガイド・レーザ:実屈折率導波レーザ) 
外観    
屈折率分布
   
発光スペクトル

 
 


以上大きく分けると上記のレーザに分類される。
(もちろん面発光レーザ等はあるがそれはまた機会があれば他のページに記載しようと思う)
このように見るとやはり多くの日本人がいくつものレーザ構造を提案しており誇らしく思うものである。