半導体レーザのノイズ
@量子ノイズ ; RIN(Relative Intensity Noise)
レーザには固有ノイズが存在する。通常のLDノイズの評価には、
以下の相対ノイズ強度RIN(Relative Intensity Noise)という値を用いる
として評価を行う。
PはLDの平均光パワー、測定ノイズ強度は凾で割ることでレーザ光の光強度雑音パワー密度。
(RINは平均光パワーと1Hzに含まれる光の雑音パワーの比で定義されている)
評価した結果はおよそ下のようなふるまいをする。
横軸がノイズの周波数、縦軸がRINであるが、このグラフはLDの変調特性(変調周波数と変調度の特性)と非常によく似ている。
グラフからノイズは特定の周波数(fr;緩和振動周波数)でピークをもち、高周波数側では急峻にノイズがなくなり、
10MHz程度以下でほぼ一定の周波数特性をもつ性質がある。
しかも、LD強度増加に対してRINを下げ、frを上昇させていく様子が見られる。
LD固有ノイズとは
では、そろそろLDのこの固有ノイズとは何かに関して説明すると、
結論から言うと、実は自然放出光というノイズの種がレーザ変調増幅したものが固有ノイズの本質である。
自然放出光はLDのファブリペロー共振器の波長フィルタを通してレーザ増幅器によって増幅され、
誘導放出光との干渉によりビート信号(ノイズ)を発生させる。
簡単に数式で説明すると、
LDはしきい値より十分大きい電流値で用いる(通常の使い方だが)
このときのLDの電場は誘導放出項と自然放出項の和で記述できる。
ディテクタで検出される光は電場の2乗に比例する(簡単のためにディテクタの熱ノイズ等はいれていない)
このように2乗で比例することで、自然放出項のみのビート信号は他の誘導放出光を含む項と比較して十分ちいさいため無視する。
よって電流値は誘導放出のレーザ光のほかに自然放出光と誘導放出光との積であるビート信号が生じ、
LD固有のノイズとしてディテクタで検出される。
これをLDのRelative Intensity Noiseという。
LD固有ノイズ:RINの測定方法
では、実際にどのようにLD固有のノイズ:RINを測定すればよいであろうか?
Agilent Technologiesのホームページで記載されていた方法を紹介しよう
実際のRINの定義は光パワーで定義するが、直接光パワーを計測できないので、
光強度雑音パワー密度を雑音電流密度に、また平均光パワーを平均受光電流に換算したものを用いて計算します
よってRINの式は
Iintensityは雑音電流密度、Ioptpowは平均受光電流である。
セットアップ図は下に示している。
測定手順は
1.まずスペクトラムアナライザによって図中のトータル雑音を測定する
トータル雑音はLD雑音のほかに熱雑音とショット雑音がアンプを通して増幅されている。
2.平均受光電流(Ioptpow)を電流計により測定し、ショット雑音を算出する
3.レーザ光を切り、熱雑音をスペクトラムアナライザで測定する。
4.トータル雑音から熱雑音を差し引きアンプのゲインをかけてからショット雑音を差し引いてLDの雑音Iintensityを算出する
(*注意)
特に重要なのが、最後のゲインの値をどのように用いるのかである
考慮しないといけない点として
1.フォトディテクタの変換効率
2.アンプ単体のゲイン
3.RFケーブルやコネクタのロス
4.スペクトラムアナライザの振幅誤差
である。
Aモード・ホップ・ノイズ
B戻り光ノイズ
CRINの戻り光量依存性