Optical Coherence Tomography



(1)OCT(Optical Coherence Tomography):光コヒーレンストモグラフィー 光干渉断層法

OCTとは、工学系で「光コヒーレンストモグラフィー」、 医学系で「光干渉断層法」と呼ばれており、

眼、肺、脳、歯等の光画像診断に用いられるすでに利用されている技術・装置である。

以下にその画像化した例を示す。





(2)OCTの測定対象領域



OCTの測定対象領域は上に示すように分解能:数um、深さレンジ:数mm以下程度となっており、

Confocal microscopy で不可能な深さを、超音波断層で難しい高分解能を達成することができる方法として重宝されている。

よって、OCTを用いることで組織表面付近の他の方法では観測できない微細な構造の3次元観察が可能である。

また特徴として、以下の表を作成した。必ずしもこの限りではないが、方式の特徴を表している

  侵襲性  触性  計測時間  分解能  侵達度  装置価格
 X線CT  ×  非接触  分  〜500um  >100mm  高
 MRI   ◎  非接触  分  〜500um  >100mm  高
 超音波断層(Ultrasonic)  ○  接触  秒  <100um  >10mm  高
 OCT  ◎  非接触  秒  〜数um  〜数mm  安
 Confocal microscopy  ◎  非接触  秒  <0.1um  〜0.1mm  高


(3)OCTの歴史

下記にOCT装置開発の概略歴史を示す

 年 開発事例 
 1990 丹野教授(山形大学)OCTの国内特許出願 
 1991 J.Fujimoto(MIT)米国でOCTの特許出願 
 1992  
 1993  
 1994 丹野教授ら英文論文発表 
 1995  
 1996 Carl Zeiss子会社のハンフリー社が製品化 
 1997  
 1998 岸教授(群馬大学)ら国内での臨床例報告 
 1999  
 2000 筑波大学・安野らFD-OCT方式発表 
 2001  
 2002  
 2003  
 2004 マイクロトモグラフィ社、眼底検査装置の製品化 
 2005 筑波大学谷田貝教授らトプコンと技術提携、OCT眼科応用の研究開始 
 2006〜 山形大学とマイクロトモグラフィ社、分光3次元OCTを提案 

眼科用のみならず、皮膚系、消化器官系、血管組織系などを対象として、in-vivoでの1μm以下の空間分解能実現、

断層画像と血流も測定できるドップラー型OCT、試料の複屈折性も測定できる機能性OCT、内視鏡融合型OCT、

高時間分解能型OCTなどOCTの潜在能力を引き出す開発が進められている。

従来よりOCTシステムは、計測範囲が大きく取れない、計測のダイナミックレンジが小さい等の課題があり、

実用化に対しては眼底検査や血流計といった極く限られたものであったが、千葉大学の椎名准教授により、

光路長変化に可変光路拡大機構を用い、計測範囲の拡大、システムの簡素化を図る開発が進められ、

工業用途への展開を目指した開発が進められている