Raman分光とは何かに関して、簡単に説明すると、
対象とする物体に光(周波数ν)を照射したときに、一般的に知られている現象として
反射、屈折、吸収などの他に、散乱と呼ばれる現象が起こる。
照射した光と同じ周波数(ν)の光として散乱することをレイリー散乱(Rayleigh Scattering)と呼び、
一方で、照射光と異なる周波数(ν+Δν)として散乱される光をラマン散乱(Raman Scattering)と呼ぶ。
このエネルギーの差hΔνしたラマンシフト(Raman shift)した光を分光することをラマン分光と呼ぶ。
次に、このラマン分光を行うことで何が分かるかというと、物質の同定が出来ることにある。具体的に、
- 物質の分子構造 - 官能基
- 幾何異性
- コンホメーション
- 水素結合
- 化学結合の状態
- 周囲の環境
- それらのダイナミクス
などに関する知見を与える。
これらの知見は赤外分光でも得ることは可能であるが、両者は相補的であり、つまり、極端に言えば、
Raman分光で観測されるが、赤外分光では観測されない振動のバンド(スペクトル)がある。
また、ラマン分光の特徴として、
- 物質の状態(気体、液体、高圧下、低温化など)に関わらず、非破壊で状態分析が可能である。
- 赤外分光では難しい、ガラス容器中試料もスペクトル測定できる。
- 2次元マッピングやイメージングも可能で、空間分解能1μmもあり、赤外分光よりも高い。