What is Raman Spectroscopy?

 Raman分光とは何かに関して、簡単に説明すると、

対象とする物体に光(周波数ν)を照射したときに、一般的に知られている現象として

反射、屈折、吸収などの他に、
散乱と呼ばれる現象が起こる。

照射した光と同じ周波数(ν)の光として散乱することを
レイリー散乱(Rayleigh Scattering)と呼び、

一方で、照射光と異なる周波数(ν+Δν)として散乱される光を
ラマン散乱(Raman Scattering)と呼ぶ。

このエネルギーの差hΔνした
ラマンシフト(Raman shift)した光を分光することをラマン分光と呼ぶ。

 次に、このラマン分光を行うことで何が分かるかというと、物質の同定が出来ることにある。具体的に、

  1. 物質の分子構造 - 官能基
  2. 幾何異性
  3. コンホメーション
  4. 水素結合
  5. 化学結合の状態
  6. 周囲の環境
  7. それらのダイナミクス

などに関する知見を与える。

これらの知見は赤外分光でも得ることは可能であるが、両者は相補的であり、つまり、極端に言えば、

Raman分光で観測されるが、赤外分光では観測されない振動のバンド(スペクトル)がある。

また、ラマン分光の特徴として、

  1. 物質の状態(気体、液体、高圧下、低温化など)に関わらず、非破壊で状態分析が可能である。
  2. 赤外分光では難しい、ガラス容器中試料もスペクトル測定できる。
  3. 2次元マッピングやイメージングも可能で、空間分解能1μmもあり、赤外分光よりも高い。