この節ではファイバ内の光減衰/損失に関して考えてみよう
ファイバ内の減衰/損失
ファイバの損失要因は、吸収損失、散乱損失、放射損失に分類することができる。
損失種類
損失要因
吸収損失
材料固有の吸収
紫外線吸収 (電子遷移吸収:主にSiO2)
赤外線吸収 (分子振動吸収:主にSiO2)
不純物による吸収
遷移金属イオン(Cu,Fe,Cr)
OH基
散乱損失
材料固有の散乱
レイリー散乱
(ミクロな組成変動による屈折率揺らぎ)
構造不均一による散乱
構造の不均一性による散乱
(マイクロベンド、構造の不完全)
放射損失
曲率の大きな曲がり
さらに、上で分類したファイバの損失を波長ごとに表したのが下のグラフである。
石英系光ファイバの主成分であるSiO2によって、紫外吸収と赤外吸収は物質由来のものであるので
吸収による損失は避けることができない。
散乱による損失は、特に波長およそ1.25umと1.4umにおけるOH基の不純物による散乱がメインである。
さらに、石英ガラス中に含まれるゲルマニウム、リン、ホウ素などのドーパントにより、λ^(−4)に比例する
材料固有の損失があり、これも避けて通ることができない。