Transfer
Fiber Optics


 
ここでは、偏波面保存光ファイバに関して説明する。

通常通信に用いられるファイバは、強度変調して転送されPDで直接検波されるために偏光状態を気にしない。

ところが、干渉現象を利用する場合、つまりコヒーレント通信や光干渉計測では、偏光を制御することが求められる

通常の光ファイバが光を伝送するとき、ベクトルモードである(LPモードは前節で説明したがあれは近似モードである

そのため、厳密にはベクトルモードで記述する、LP01はxy2つに縮退したHE11モードが対応する)

を伝搬する。この二つのモードはファイバが完全であれば電力のやり取りが行われず、出射端でも同じ偏光状態を保つ。

しかしながら、非軸対称性、不整等があるため、の縮退がとけてモード間に結合が生じ、偏光状態は保存されない。

では偏光状態を保存するには以下の二つの方法がある

(1)両偏光モードの伝搬定数差をできるだけ大きくして、両モード間の結合を小さくする

(2)一方の偏光モードの伝送損失のみを非常に大きくする


(1)直線偏波面保存光ファイバ


2つの伝搬モードの結合を小さくするためには、伝搬定数の差をできるだけ大きくすることである。

その方法として、

   @コアの形状や屈折率分布を非軸対象とする

   Aコアに応力(stress)を加えて異方性にする

上記の方法により、それぞれの偏光モードの伝搬定数が異なるために、複屈折と似た性質を示し

これを、
モード複屈折(modal birefringence)と呼ぶ。

伝搬手数の差刄タとして、モード複屈折率Bを用いて以下の式であらわされる。



このようなファイバを伝搬させると



と直線偏光と円偏光を繰り返す。この周期をビート長:Lと呼び、




(2)偏波面保存ファイバの種類

   形状複屈折  応力複屈折        
     PANDA
(Polarization maintaining
and absorption reducing)
 bow - tie Elliptical clad
楕円クラッド 
楕円ジャケット   
 外観@            
 外観A            
 ビート長(mm)    4 (@λ=1.3um)  <1.3 (@λ=0.633um)  0.88 (@λ=0.633um)   1.85 (@λ=1.3um)  
 損失(dB/km)    0.25 (@λ=1.55um)  1.8 (@λ=1.05um)  5 (@λ=0.633um)   1.2 (@λ=1.3um)  
             
 備考        応力付与材がコアの近くにあるため損失大きくなる  応力付与材をコアから遠ざけたファイバ  
 備考    応力付与材としてB2O3をドープした石英系ガラスが使われている 
このガラスは石英ガラスの数倍の熱膨張係数を持っており、コアの方向により異なる応力が加わる