分光器


研究者、技術者として実験に基づく研究・開発に携わる際の基礎とは


上記の問題にたいする回答として、

  (a) 科学における理論的な考えを、実際に観察し体験する
        ⇒ 観察だけでは、理論的な説明に完全に取って代わることはできない。

  (b) 実験に用いる各種装置に親しむこと
        ⇒ すべての装置に親しむことは難しい。なすべきことは、一般的な装置の扱い方、または
           装置を扱う際の心構えを学ぶ。

  (c) いかにして実験をおこなうか

が挙げられる。いすれも、実験研究を進めていく上で、基礎となることである。
そのなかで、最も大切なテーマは(c)である。





もうすこし、(c)の内容に関して明確にしてみよう。

  (1)目的に応じた精密さをもつ実験計画を立てる。
  (2)手法や装置から系統誤差を取り除くよう心がける。
  (3)正しい結論を引き出すよう結果を解析する。
  (4)最終結果に求められる精度を検討する。 
  (5)測定値や計算を正しく、明確に、そして、簡潔に記録する。

これらの内容をきちんとおこなうことは、「優れた実験家である」と同時に「科学がいかなるものかを学ぶこと」にもなる。

例えば、ギリシア人は動いている物体はいずれ止まってしまうという現象を見て、
「物体を動かし続けるには力が必要である」ということが現象の本質としたが、
ガリレオやニュートンは「物体の動きを止めるのは、その現象の本来の特性ではなく、摩擦によるもので、
摩擦がなければ物体は動き続ける。」と結論した。

この考えが正しいかどうか、調べるには、摩擦や抵抗を完全に取り除かないといけないが、実際は無理な
話である。しかし、限りなく小さくすることはでき、力を小さくするにつれて、物体は遠くまで動くことを確認する
こうした観察により、摩擦がゼロの極限では力が働かない限り運動は不変であることがいえると信じられるだろう。


実験を通して科学を学ぶときに、常に実験と理論とがどのように関連付けられているかをしること、
現実世界がいかに複雑であるかを体験し、科学全体として深く理解することが一番大切であり、
重要なポイントである。