1.1 分光器の種類
分光器の種類は大きく分けてプリズム型と回折格子型の二種類がある。
(@) プリズム分光器
プリズム分光器といっても、直視分光器、波長分光器などいろいろ上げられる。ここでは波長分光器に関して説明する。
プリズム分光器は、後で述べるがある欠点があるのであまり顕著な発展は遂げなかった(これらの欠点が製作上大きな原因であったのかはわからないが・・・)ので、ここでは簡単な説明にとどめることにする。
概観は以下のようになっている。
この分光器が光を分光できるのは分光器の中にプリズムという光学素子が入っているからである。プリズムが光を分散する理由は、詳細は避けるが、多くの光学の本(特にヘクトI 文献参照)に載っているように光はプリズムを通ると波長ごとの屈折率の違いから(分散という)、波長ごとの光路が異なる。これによって分けられた光は適当な装置によって光の強度が測定される。
プリズム分光器と同様に、回折格子型の分光器も多くの種類のものが存在する、今回はその中でも、今回の実験で登場した分光器、反射型の回折格子を用いたCzerny-Turnerマウント分光器に関して説明する。
まず、分光器の概観を示す。今回の実験で用いたのとは多少光の経路は異なるが、本質的なことは一切変わらない。
これがなぜこの装置で分光できるかというと、それは回折格子(grating)と呼ばれる、光学素子が入っているからである。この素子の仕組みについてこれから詳述していく。普通の分光器のように、gratingにコリメートされた光が入射すると、以下のような現象が起きている。
gratingは個の溝(grooves)からなっており、これは滑らかなガラス板に線を引いたものか、フォログラフィ技術によって作られている。また、金属か誘電フィルムなどで高い反射膜で覆われている。
図に示しているように、平行光がgrating normalに角で反射されたものは干渉によってある方向のものは強度が大きくなり、それ以外の方向は干渉しあい弱めあう。図は隣接した二つの光の光路差を示したもので、強め合う条件は以下のようなものである。
plusは二つの角度が同じ方向に向いているときである(というより、grating normal
ここで、i は正の量にとってあり、は回転角を表していることに注意!!
右図からわかるように、リードスクリューが回転すると、こまが図中で上下方向に平行移動する。Oを中心として回転するアームの先端が、コマに取り付けてあるバーを滑らせるとアームの回転角とコマの移動量の間に、
が成り立ち、O点上にとなるようにgratingを取り付けると回転角を読み取れる。
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プリズム |
回折格子 |
長所 |
透過率が高い 迷光が少ない 次数重複がない 出射光の偏光度が小さい |
種類が豊富 安価になってきた 使用は長領域で分散がほぼ一定 |
短所 |
材料に制限がある 分散の波長依存性がある 温度により波長のずれがある |
透過率が低い 迷光が多い 次数の重複が起こる 出射光の偏光度が多い |