簡単な分光実験


 実験配置




このように、今回はHalogen Lampを用いた透過の実験をした。実験は以下に行ったHalogen Lampの強度をそのまま測定、red filter(CdSsemiconductorである)を分光器の入射側にはさんで強度を測定、最後は出射側にCdTe(CdTeは黒い試料ホルダーに小さい穴をあけそこに光を透過させた)を用いた強度測定を行った。



(@)実験結果

     (A)ハロゲンランプ      (B)ハロゲンランプ          (C)ハロゲンランプ

   spectroscopy             (in red filter) spectroscopy       semiconductor CdTe

λ(nm)

強度(V)

 

λ(nm)

強度(V)

 

λ(nm)

強度(V)

400

0.0154

 

400

0

 

400

0.000551

410

0.0208

 

410

0

 

410

0.00079

420

0.028

 

420

0

 

420

0.001056

430

0.0327

 

430

0

 

430

0.001258

440

0.0357

 

440

0

 

440

0.001392

450

0.0393

 

450

0

 

450

0.001549

460

0.0492

 

460

0

 

460

0.001917

470

0.0605

 

470

0

 

470

0.002257

480

0.0712

 

480

0

 

480

0.002824

490

0.0819

 

490

0

 

490

0.003204

500

0.0916

 

500

0

 

500

0.003629

510

0.1032

 

510

0

 

510

0.004096

520

0.1135

 

520

0

 

520

0.004486

530

0.1232

 

530

0

 

530

0.004835

540

0.1332

 

540

0

 

540

0.00527

550

0.1435

 

550

0.0001

 

550

0.00569

560

0.1532

 

560

0.0002

 

560

0.006125

570

0.1634

 

570

0.0004

 

570

0.00648

580

0.1727

 

580

0.0005

 

580

0.006855

590

0.1818

 

590

0.0003

 

590

0.007296

600

0.1908

 

600

0.0003

 

600

0.007793

610

0.1997

 

610

0.0004

 

610

0.008206

620

0.2069

 

620

0.0008

 

620

0.008435

630

0.2136

 

630

0.0118

 

630

0.0088

640

0.2193

 

640

0.0753

 

640

0.009107

650

0.2245

 

650

0.1485

 

650

0.00955

660

0.2297

 

660

0.1832

 

660

0.009977

670

0.2336

 

670

0.1949

 

670

0.010149

680

0.237

 

680

0.2007

 

680

0.010433

690

0.2391

 

690

0.2034

 

690

0.01047

700

0.2538

 

700

0.2165

 

700

0.011409

710

0.2622

 

710

0.2234

 

710

0.012035

720

0.264

 

720

0.2248

 

720

0.01249

730

0.263

 

730

0.2238

 

730

0.012662

740

0.2607

 

740

0.2216

 

740

0.012905

750

0.257

 

750

0.2181

 

750

0.012811

760

0.2525

 

760

0.2143

 

760

0.0129

770

0.2477

 

770

0.21

 

770

0.012899

780

0.2422

 

780

0.2052

 

780

0.013

790

0.2367

 

790

0.2002

 

790

0.013335

800

0.2314

 

800

0.196

 

800

0.014167

810

0.2269

 

810

0.1915

 

810

0.017255

820

0.2234

 

820

0.1883

 

820

0.02587

830

0.2216

 

830

0.1864

 

830

0.034512

840

0.2213

 

840

0.1858

 

840

0.037145

850

0.2226

 

850

0.1865

 

850

0.03658

860

0.2252

 

860

0.1882

 

860

0.035812

870

0.2287

 

870

0.1908

 

870

0.037012

880

0.2329

 

880

0.1945

 

880

0.038442

890

0.2374

 

890

0.1978

 

890

0.04066

900

0.2414

 

900

0.2007

 

900

0.043189

910

0.2451

 

910

0.203

 

910

0.045822

920

0.2486

 

920

0.2051

 

920

0.0476

930

0.2503

 

930

0.206

 

930

0.049016

940

0.251

 

940

0.2061

 

940

0.04932

950

0.2512

 

950

0.2055

 

950

0.048302

960

0.251

 

960

0.2049

 

960

0.046315

970

0.2495

 

970

0.203

 

970

0.044002

980

0.2455

 

980

0.1994

 

980

0.042262

990

0.2393

 

990

0.1939

 

990

0.040294

1000

0.231

 

1000

0.1868

 

1000

0.038012




        


         

実験考察

Halogen Lampは白色光を出すということが知られている。実際のスペクトルは図に示したものである。このスペクトルは黒体輻射で知られているように以下の式で従う。

今回の実験結果は二つ上の青のスペクトルがそれを表しているが可視光領域では概形はほぼ似ているが気になる点としては700nmでの異常な飛びとそこから減少して830nmあたりで極小値を取りそこからまた増加していくという点である。この原因を考えるときに、まず考えられるのが、回折格子の高次光がのってきているという事である。実際その可能性があるかどうかを検証する。720nmあたりでの高次光は360240nmが考えられる。しかしred filter620nm以下の波長を完全に断ち切った後でもこのような振る舞いは変わらない。これは回折格子が原因であるとは考えづらい。このことはほかの波長に関しても同様に考えることができる。次に考えられるのはdetector側の問題で、今回のdetectorSiを用いたphoto diodoが波長依存性を持っていればこのような現象は考えられる。photo diodo の感度をグラフにしたものを載せた、これを黒体輻射の式に掛けることで720nmあたりに第一のpeakを持つことは説明できる。次に950nmpeakを持つことは黒体輻射のpeakがどこに来るかが問題になるが、これはHalogen Lampの温度が問題である。温度によって黒体輻射のpeakが変化するからである。黒体輻射の色に関してはよく注意してみていなかったのでこれに関してあまり深い議論はできない。次に考えられる効果としてはgrating感度の波長依存性に関して考察する。これThorabscatalogによると短波長側に多くの吸収がある傾向はあるが、gratingはいろいろな種類があり(例えば、ホログラフィックで作られたものや、UV加工されたもの、線を引くことで作られたものなど)、一概にgratingによる影響を結論付けることができない。後考えられることとしてgratingにあたる角度によって光の捕捉量が異なることが考えられる。

      次にCdTeの透過について考察する。CdTeのバンド構造は右図に示した。CdTeは直接型半導体で、吸収は0K1.47eV(843nm程度)からあることが知られている。実験結果をこの事実と見比べてみると、800nmあたりから急激に吸収されはじめてきている。このずれは室温ではバンド端近傍で電子はフェルミ分布をしておりkT (0.025)eV、このことを考慮すると10nm程度のボケがわかる。これは実験結果とよく一致していると考えてもよさそうである。860nmdipがあることがグラフから見て取れがこれは先に述べた分光器や検出側の問題があるためできちんと議論はできなさそうである。


最後に
red filterに関して検証してみる。red filterは実際半導体のCdSeをガラスの中に混入したものである。よってCdSeに関して考察をしてみる。CdSeのバンドギャップは1.74eV(712nm)で直接型の半導体で、バンド構造図に関しては見つからなかったので載せなかった。実験結果と見比べてみると短波長側から630nm(1.97eV)あたりまで吸収があるが、712nmのバンドギャップを持つ、つまり、それより短波長側は吸収するはずであるがこれに対する説明がつかない。712nm付近から透過率が激減しない理由はよくわからないが、室温なので多少バンドの構造が変化したか他に不純物が含まれていてそれが影響しているのかという浅はかな考えしかたどり着かなかった。