この節では光パラメトリック増幅に関して説明する
光パラメトリック増幅とは、角周波数ω3の強い光(ポンプ光)から、角周波数ω1で入射した弱い光(信号光)を増幅し
角周波数ω2=ω3−ω1の光を相互作用の過程で生成される副産物の光(アイドラー光)を生成する。
ここで、以下の置き換えを行い、αを定義すると、
を得る。行列形式で上式を解いていくことにすると、
よってこれらの値を上記の式に代入して固有ベクトルを求めると、
となる。一般解を求めるには、上記の固有ベクトルを用いて
下にパラメトリック増幅の場合の信号光とアイドラー光と入射光の強度変化を図に示した。
前節と同様に、入射光は結晶中ほとんど減衰しないとして一定として扱っている。
また、下図を描くにあたって、信号光は弱い強度で入射して、アイドラー光は全く入れなかった(E20=0)としても、
信号光とアイドラー光はともに指数関数的に増幅される。このような増幅装置をパラメトリック増幅器
(optical parametric amplifier : OPA)とよび、光を低雑音で増幅できる装置として使われる。
さらに、自然放出光があると入射光をわざわざ入射させなくても、E10とE20は0でないので、これらが増幅される。
これをパラメトリック蛍光といい、ポンプ光が低い周波数の2つの光に変換されるのでパラメトリック(下方)変換器
(parametric down converter : PDC)という。このような分解された光は同時に放出され、周波数や波長、波数ベクトル、偏光
に相関があるため、双子の光子とよばれ、スクイーズト状態の発生や、量子力学的”もつれた状態”の研究に使われている。