前節まで、①レーザを発振させるには反転分布と呼ばれる励起状態の方が基底状態よりも分布が多い状態をポンピングという作業をすることで
作ってあげること。さらに、②共振器にレーザ媒質を挟み共振器内を誘導放出光を増幅させることで光の位相をそろえることが可能となる。
このように定性的な話は前節で述べたが、では実際にレーザが発振するための条件はどのような関係を満たしていればよいのかは気になる点である。
共振器内では損失があり、それを打ち勝つだけのレーザ媒質による増幅効果が必要となる。つまり、損失と増幅の間でどのような関係を
満たしていればよいのかを考えるのがこの節である。
下図のような系を考える。
レーザ媒質の左から小さな電場Einが入る。その後レーザ媒質を通過し得られるゲインは片道で電場なのでe(Gl/4)である。
その後共振器のミラーで反射され、反射率は√R2で再びレーザ媒質に入射する。再びゲインe(Gl/4)を得て共振器で反射される。
さらに実際媒質中で散乱されるため共振器から外に抜け出る分や回折広がりのために失われる分がある。失われなかった分を
√κであらわすとすると、定常状態で、
Eoutに関して上式を求めると
となる。分母が0となるようにゲインを増やせれば、小さいEinに対して大きな出力Eoutを得ることが可能となる。
つまりレーザ発振することになる。上記の分母がゼロになるためのゲインが満たすべき式は、
である。ポンピングにより反転分布の程度を上げていくと、つまりよりNe-Ngの値を大きな正値をとるようにしていくと
まずは発振しきい値を超えた中央付近のモードから発振していく。
上記に述べた様子を表しているのが下の図である中央の2つのモードがレーザ発振していることが分かる。