3.8 なぜガウス分布なのか?
ガウス関数が偶然誤差のみを含む測定値の分布を表すのに適していると述べた。
しかし、
ガウス分布を用いる理論的根拠は「中心極限定理」と呼ばれる統計学における定理による。
詳細な証明は行わないが、この定理は
「n回の測定が非常に大きいとき測定の分布はガウス分布に近づく」
というものである。
では、よくある物理量を測定したときに、通常平均値を持ってその物理量を代表させるが、
はたしてそれが正しいのだろうか?
分布関数がf(x−X)という形をとり、測定器のxの値に対する分解能がxの値によらずεとすると、
xがxiをとる確率はf(xi−X)εだから、n回の測定を行った際に、
x1,x2・・・xnという値が得られる確率は、
Xとして最適な値は、この値が最大値をとるxの値として定義される
ガウス分布をしている場合その値は平均値であることが証明されている
これにより、
われわれが平均値を持って測定値を代表させることの理論的な裏付けである
(注意事項)
しかし、ガウス分布のみがすべてを分布を説明するわけではない。
例えば、光子の分布はポアソン分布として考えられる
また、以下のことも覚えておくとよいかもしれない
今回誤差σやσmを推定する場合、多くの場合はガウス分布からのずれの効果は
σやσmを推定する際に用いる近似よりも効果は問題にならないほど小さい。
このように考えるとガウス分布は不十分のように感じるかもしれないが
それ以上に数学的な取り扱いがしやすいことがあるため、
測定値の評価で明らかに矛盾がない限り、通常ガウス分布が採用される。