教育用のラマン分光について調査してみた。
調べてみると、海外の学生が作ったOpenRamanが広い範囲で分解能もある程度高く、かつ、分解能もよいという点からよくデザインされていると思われる。しかも価格も抑えられている。
一番ハイスペックのものを求める場合にはスペクトルを見たところThorlabのラマン分光キットのほうがよく分解できているように見える。(OpenRamanと比較して数値以上に)
ラマンの励起波長として532nmもあるが、可視光よりも近赤外の680~785nmのほうが一般的に蛍光の影響が小さくなるため近赤外を使いたくなる。ところが、Raman信号強度は波長の4乗則に比例するため、波長が短いほど強い信号が得られる、532nmと680nmの場合信号強度の比は(680/532)4=2.67倍だけ532nmのほうが強い信号になる。一方、(785/532)4=4.74倍だけ532nmのほうが強い信号になる。結局蛍光量によるショットノイズの影響と蛍光のバックグランドの影響をどれくらいラマン信号に影響を与えるかが複雑であるため、どの波長を用いればいいのかはケースバイケースになるが、低コストを目標としているために、部品の入手性やコストの観点から決めていくのが現時点ではいいだろう。
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raman-kit (光響) | モジュール式ラマン分光用キット(Thorlabs) | Performance Edition (OpenRaman) | |
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図 | |||
スペクトル | |||
価格(万円) | 98 | 196(分光器のみ) | 53(Custom LD&Dirver) |
波長(nm) | 532 | 680 / 785 | 532 |
強度(mW) | 300 | 40 | |
測定可能 波数範囲(cm-1) | 400~ | 500 cm-1 to 1800 cm-1 (@ 785 nm Excitation) | 500 cm-1 to 3500 cm-1 |
分解能(cm-1) | < 9.7 cm-1 @ 500 cm-1 < 7.8 cm-1 @ 1800 cm-1 | 12 | |
SNR | 700:1 | 1000:1 | |
検出器 | 汎用CCD | Monochrome CMOS, Non-Cooled | BFS-PGE-31S4M-C PoE GigE Blackfly® S, Monochrome CMOS Camera |
スペクトル データベース | × | N/A | N/A |
ユーザーによるカスタム | 可 | 可 | 可 |
リンク | ラマン分光学習キット | 光響 (symphotony.com) | モジュール式ラマン分光用キット (thorlabs.co.jp) | Starter Edition – OpenRAMAN (open-raman.org) |
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